地域主体のまちづくりを学ぶ まちづくり出前講座 第一回

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自分たちで進めるまちづくり

日時:2019(令和元)年11月20日(水)18:30~20:20
場所:PSオランジュリ(熊本市中唐人町)
参加者: 30人(講師のお二人を除き)

○ 講座の趣旨(KMT広報部長:松波)
PSオランジュリ復旧工事完成の紹介も
○ 都市計画家協会と講師の紹介(KMT事務局長:冨士川)

○講座1:まちなかの活性化について

講師 内山 征(日本都市計画家協会理事)

① 自・共・公のまちづくり

個人でやる「自」、行政主体の「公」に対してみんなでやる「共」が重要なのは、地域によって目指すこと、目標が異なるから。
今あるものを使っていく時代なので、みんなでやる「共」のまちづくりが効率的。

② 笠間市の事例

衰退した中心商店街の活性化のために平成24年、行政が最後のカンフル剤として地産の御影石を使って石畳舗装整備を行った。これを機に、トイレマップ、ボンネットバスの運行、新しい蕎麦屋、酒蔵ビアガーデンなどの民間事業が起こり、町の人の意識が変わっていった。笠間神社の柱の色、笠間朱色をシンボルカラーとする町並みガイドラインもできて、商店街の付加価値が高まり商店街の空き店舗に若者の出店が相次ぎ、老舗店舗の後継者と若い創業者が協力してまちづくりに取組んでいる(笠間稲荷門前通り商店街)。

笠間人車軌道の復活を紹介。1915(T4)年~1930(S5)年まで営業された駅から笠間神社までの超短距離路線の車両軌道があった。1925(T15)年内燃動力車両に切り替えられるまでは後押し人車であった。この車両交通を復元しようと2006年から活動を始めた。当初は模型の製作から始めたが、当時の車輪を保存されていた喫茶店など、しだいに協力者も増えていった。2/3サイズの復元模型をつくり乗車イベントも行っていたが、現在クラウドファンディングで次の目標である実物大・本格車両の製作に取り組んでいて来る11月24日にはそのお披露目イベントを予定している。

③ まちづくりの二階建て構造

地域にあったテーマに対応し重層性のある活動で商機に結びつけるために

地域が義務的に取組む活動(1階)  と
グループでやりたいことを取組むこと(2階)

の2階建てで考える。ゴミの収集や街路灯の維持管理は1階、商店街活動も自主性を重んじ楽しんでやれれば
2階。先ほど紹介した笠間人車はもちろん2階だ。さあ、今日から2階のまちづくりを始めましょう。

○ 講座2:住宅地のマネジメントについて

講師 中川 智之(同協会常務理事)

① いろいろある住宅地

戸建て住宅地、郊外の住宅団地、商店街に隣接した下町の住宅地・・・
現在、高齢化や空洞化で共通してコミュニティを支える意識や行動力が低下してきています。住宅地のマネジメントが求められています。

② 求められるまちづくりの担い手と支援者

住民自らが主体となって取組むことが求められていますが高齢化過疎化が進む中で様々な支援者を必要としています。住宅ディベロッパー、NPO・市民団体、大学、企業、そして地元自治体です。

③ 想定される典型的なテーマ

高齢者の見守り・生活支援/子育て支援・教育環境の充実/日常生活サービスの充実/防犯・防災への配慮/地域コミュニティの活性化/空き家・空き地の適正管理
テーマは地域により多様ですが、まずは身近でささやかな取組みから始めることも。

④ まちづくりを4つのステップで進めましょう

1) 住宅地の現状や課題を共有 ➡ 2) 将来の姿を想像しやるべきことを洗い出す ➡ 3) できることから早速実践 ➡ 4) 結果を検証し、次の活動につなげる

⑤ 住宅地のまちづくり事例

20年間で36%の人口減少、まちづくり協議会を発足させた野田市(当時の住宅公団)分譲・賃貸住宅団地 目標は多世代が交流できる「公園団地」 /NPOと自治体が買物代行、配食などの生活支援サービスを展開する武蔵台 /管理組合が主体となって団地内の広場を「みんなの庭」として再生した横浜市の団地 /京都の町屋の再生 /大阪からほり地区では老朽家屋を「にぎわいづくり」の目玉施設に

地域の魅力を最大限活用し、地域主体のマネジメントによって連携の輪を広げましょう。

○ 参加者との意見交換 (Q.参加者の質問/A.講師の回答)

Q.(地元自治協議会会長)担い手の高齢化と後継者育成に苦労している。新しく転入してきたマンション住民のまちづくりへの参加も課題。

A.笠間の場合、当初は高齢者が多かったが徐々に若い人が増えてきて交代が進んだ。
第3回講座の椎原さんの話を是非参考にしていただきたい。(内山)
台風19号のときもそうだったが、災害時には助け合いが生まれやすい。きっかけづくりをどううまく次につなげるか?今あるものの価値を伸ばしていく方向で。(中川)
さきほど訪れた明八橋際の「珈琲ギャラリー」もきっかけづくりの場のように感じた。

Q.マンションの町内活動を活発にする方法は?

A.冊子にもあるが、行政がまとめ役になった事例がある。

Q.どうしたら行政が手伝ってくれるのか?

A.まずは、集まって共通した問題について話し合う。次にその場に行政に参加してもらう、という手順がうまくいきやすい。

Q.新町古町は商店が点在していてバラバラ。これをまとめるうまい方法はないか?

A.むしろ点在していることを活かす、という発想も必要。一日では回れないのでリピート客になってもらう。それを可能にするための知恵と工夫を(皆で考える)。

Q.わざわざ立ち寄っていただくために川を開発したらよいと思うのだが?

A.市電軌道敷きの石畳もイイ!
笠間で来街者が増えたのは必ずしも町並みがそろったからではなく、住民が活動していて
元気になったから来てみよう、という人が多いから。
よそ者と住民の感覚の違いを逆手に取って観光資源を開発する。川をどう思いますか?
A.もっと水をきれいにしないといけない。昔と比べるとずいぶんよくはなったが。 (空振り)

Q.新町古町の地域資源や魅力はたくさんある。活かしきれていないと思うのだが・・。

A.最初に、第一歩目をこの街に踏み入れていただくための方策を考えてみること。
バナナの専門店、下駄の専門店などそん所そこらにはない。

Q.A.(参加者)先ほどの川についてだが、街の成り立ちと水運とは切っても切り離せない関係。そんな街の成り立ちや歴史を知ることとそれを共有することが肝要だと思い、そのような活動を続けている。

Q.A.(参加者)新町古町で最近起きていることは「居場所作り」。本日の2人の講師のお話と共通し共感できることだと思う。

Q.A.(参加者)もっと声をあげて発信していきたい。街の姿を描くことも、マンション住民の方たちとも共有したい。

Q.A.(講師)まちづくりに失敗はないと思います。がんばっていただきたい!

○(司会)結びと第2回、第3回出前講座のご案内

=了=

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