主催:五福校区自治協議会/五福ふれあいまちづくりの会/NPO法人熊本まちなみトラスト
日時:2018(平成30)年10月24日(水)18:30~20:30
場所:熊本市中央区五福公民館(五福まちづくり交流センター)2階中会議室A
参加者:
五福校区:上村元三、早川祐三、平野正剛、清永泰弘、清永佳子、松田清見(五福校区自治協議会会長)、小出伸介、木下光義(板屋町在住の紋章家)、橋本博(NPO熊本マンガミュージアムプロジェクト/幼少期をすごした古町に最近Uターン)、黒瀬雅之、黒瀬奥様、黒瀬潔、高口幹啓、(一新校区)吉田秊代 (14)
熊本まちなみトラスト:鄭一止、冨士川一裕、松波大仁 (3)
【合計:17人】
0.本日集会の主旨説明(上村元三)
- 熊本市歴史まちづくり協議会の1回目が8/21に開催され、ここにご出席のイルジ先生ほかとともに出席
- いろいろとわからないことも多く、また、地元の気持ちを反映した計画にするために、地元の勉強会を熊本まちなみトラストの協力を得て10/2に開催した(第1回目)。
- 今日はその第2回目。全国の事例を学んだ後、地元の思いを出し合いたい。
1.前回のおさらい
(1)熊本市全体での7つの「歴史的風致」とそのエリア
- 歴まち計画(歴史的風致維持向上計画)は、市全域が対象になるので、全体的に広く薄くならざるを得ないようだ。
- 新町古町が含まれる「熊本城城下町エリア」の歴史的風致は「城下町の祭礼等に見る歴史的風致」とされ、【活動】として藤崎八幡宮例大祭、【建造物】として藤崎八幡宮、御旅所、熊本城跡、吉田松花堂、長崎次郎書店などがあげられている。
2.本日の研究(先進都市事例)
(1)金沢市
①金沢市の維持及び向上すべき歴史的風致 ( )内は番号/3,4,7,8,9,10は略
- 金沢城・兼六園に見る歴史的風致(1)
- 茶屋町に見る歴史的風致(2)
- 旧町人居住地に見る歴史的風致(5)
- 河川に見る歴史的風致(6)
- 城下町と密接に関わってきた地域の歴史的風致(11)
②金沢市の重点区域における施策・事業概要 (抜粋)
- 歴史的建造物の積極的な保全と活用に関する事業
- 歴史的街並みの保全に関する事業
- 歴史的建造物の周辺環境の保全に関する事業
- 伝統行事・伝統文化及び工芸技術の継承者の育成に関する事業
(2)名古屋市
①名古屋市の維持及び向上すべき歴史的風致 ( )内は番号/2,3,5略
- 名古屋城と名古屋城下町を舞台に展開した祭礼に見られる歴史的風致(1)
- 堀川・四間道界隈に見られる歴史的風致(4)
- 大都市名古屋の発展過程に見られる歴史的風致(6)
②名古屋市の重点区域における施策・事業概要 (抜粋)
- 名古屋城本丸御殿の復元
- 本町城下町歴史案内板等整備事業
- 名古屋市役所本庁舎及び愛知県庁本庁舎の歴史的価値の維持向上
(3)佐賀市
①佐賀市の維持及び向上すべき歴史的風致 ( )内は番号
- 城下町の形成とその維持から見える歴史的風致(1)
- 長崎街道と菓子文化の継承から見える歴史的風致(2)
- 近代化産業と伝統産業の継承から見える歴史的風致(3)
- 城下町の恵比寿信仰から見える歴史的風致(4)
- 堀文化の継承から見える歴史的風致(5)
- 祭事の継承から見える歴史的風致(6)
②佐賀市の重点区域における施策・事業概要 (抜粋)
- 旧久富家住宅取得保存修理事業
- 長崎街道再整備事業
- 案内・説明板及び誘導看板整備事業
- 水路保全整備事業
※地図を見ると、いずれの都市も複数の歴史的風致の所在が重なり合っている
3.意見交換
(1)計画の目的についての質疑
Q.歴まち計画の目的は何か?
A.
- 国の認定を受けて国の補助金を熊本市が得ること
- 地域のまちづくりの目標を強くすること
地震直後から復興のためには「まちづくりの目標が必要」という意識が地元にはあった。
それを達成するためにこの計画をうまく活用できたらいい。
Q.まちづくりの目的を明確にできないか?
A.いろいろあると思うが「観光」も一つ考えられる。
(2)新町古町の歴史的風致についての意見
- 早川倉庫が一番わかりやすいモデルだ。これを街全体に広げるような方法を考え出したい。
→「町屋を活用した諸行事に見られる歴史的風致」 - 清永本店で毎年開かれるお雛様は感動した。
→「町屋を活用した諸行事に見られる歴史的風致」 - 新町職人町のおもちゃ屋、お菓子屋の伝統は100年以上続くもの。
→「職人町・細工町に見られる歴史的風致」 - 住友銀行、旧第一銀行社屋にはかつてここが金融街であったことを偲ばせる。
→「熊本の近代化の足跡をとどめる歴史的風致」 - 北岡神社(祇園社)の歴史は藤崎宮に匹敵する。大きな山笠もかつては在った(写真を示して)。今も保存されているのではないか。現在も祭りは続けられている。
→藤崎宮とともに歴史的風致の構成要素として取り上げる。 - 他都市の事例にも「川や堀の整備」は取り上げられている。明八、明十橋は100年以上前に作られた石橋であり、精霊流しは戦後60年の2005年に復活したが100年以上前から続いている伝統行事。
→「熊本城築城に建造された坪井川に見られる歴史的風致」
→「堀川と町割に見られる熊本城下町の歴史的風致」 - 新町に特に多いが古町にも点在する『地蔵』は、佐賀の恵比寿さんと匹敵する。地蔵祭りも復活、継承されている。また、古町のすり鉢舞いや白梅天神の祭礼なども伝統ある行事。
→「城下町に残る地蔵信仰等の祭礼に見る歴史的風致」 - (あまりに身近で忘れられがちだが)古町の地名は江戸時代から続いているし、新町も「旧町名」の維持向上に努力している。
→「城下町の地名に見る歴史的風致」
(3)新町古町の重点区域の事業についての意見
- 「観光振興」はこの地域に必要な事業だが、(一時的なみやげ物店のような商売ではなく)生活に根ざした商売のできる街にしたい。そのような(観光)商業施策が望まれる。
- 何よりも「住みたい街」であることが望まれる。「住んでみたい」と思われるような施策が望まれる。
- しかし、マンションはもう要らない。マンションによって街が分断される。マンションでなく小商い(こあいない)や小規模住宅を建設可能な施策を導入したい。
- ただ、マンションに入居した新住民も地域住民として受け入れる寛容さは必要。
- 他都市の事例に見られるように、坪井川の遊歩道整備を事業化してほしい。
- 「維持」と同時に「新しいものを作る」ことにも力点をおきたい。
- 復興の予算は長くは続かないので、この計画を使って街の性格を方向付けるような事業を盛り込んでほしい。
(4)この会の今後の進め方について
- 本日のまとめを、委員を通して市に伝え計画に反映してもらう。
- 反映できない部分は、熊本市作成の歴まち計画を補足する地元の計画としてまとめる。
※多数の住民参加によってつくられた「2005年新町古町まちづくり計画書」は参考になります。別途HPに掲載します。 - 次回は、熊本市歴史まちづくり協議会が11月に開かれると思われるので、その前後のタイミングで開催する。