□ 日 時 2017年11月27日(月)18:30~20:30
□ 場 所 熊本大学まちなか工房
□ 参加者 理事10人、会員4人、事務局職員1人 計15人
1.三井住友銀行熊本支店の社屋保存と活用について
(1)11月26日開催の「城下町を語り継ぐまちづくりフォーラム」の総括
①地元の自治会連合会から寄付やファンドによる資金集め等の積極的発言があった。
トラストとしても協調していきたい。
②管理運営が経済的に自立することが必要(付加価値を経済的価値に変えていく)。
③市民の共感を集めながら進める必要がある。
④防災(大地震に耐えた)・文化・歴史を表現できる使い方、というコンセプトも出された。
⑤使い手、担い手を探しているうちに時間切れで解体される、という最悪の事態を避けるためには、筋道を立てて行動していくことが必要。
(2)銀行支店とのコミュニケーション
①現状報告や見学会や建物調査の申し入れ等、コミュニケーションを絶やさないようにする。
②「一緒に使い手を探しましょう」という共同歩調を呼び掛ける。
(3)全国の事例
①岩手銀行(盛岡)、山陰合同銀行(島根)は銀行が所有したまま保存、活用を図っているが、地銀だからできるのかもしれない。
②岡山市・旧日銀支店は市民の熱心な運動が実り、県が所有してNPOが運営している(別添資料参照)。
③事業性に着目して経営する事例も増えているようだ。
④(銀行建築ではないが)「青木繁『海の幸』記念館」(千葉県館山市有形文化財(建造物)小谷家住宅)・・・ネット上に詳しい解説(青木繁が「海の幸」を描いた小谷家住宅が地元保存会と全国美術家の協働で保存から公開へ)がある。
(4)活用方法に関するアイデア
①写真博物館
・冨重写真所の写真・機材の展示、写真スタジオ
・・・登録文化財のスタジオは現地で改修保存すべき
・重写真所の文化的価値を高めることに寄与し、県のかつての博物館構想と合致する
・併せて重写真所の重要文化財指定も再度進めるべきではないか
・重写真所の県外流出(がもしあったとすれば)は熊本の歴史文化の多いなる損失
・冨重写真所の意向を確認する必要がある
②肥後銀行『里山ギャラリー』の拡大版
・熊本の経済界も「熊本城」から「城下町」へ関心を移してもらえる時期なのでは
③音楽ホールとギャラリー
④メモリアルホール(葬儀場)
⑤納骨堂
(6)(筋道だった)今後の進め方
①銀行支店との協調路線をつくる
②県への要望書 ・・・ 博物館ネットワーク構想を入れてもいいのでは
③担い手探し ・・・ コンセプトを明確にして
前提となる文化的価値の解説は磯田さん投稿記事を繰り返し活用する
2.その他
(1)全国町並みゼミ2017in名古屋(11/17-19)への参加報告(別紙)
(2)ワールド・モニュメント財団(WMF)日本担当副理事長
ダーリン・マックロード(Ms.Darlene MacCloud)氏の歓迎会(11月5日)報告
(3)「住友部会」は、『三井住友支店社屋保存活用連絡協議会』に改名する
次回の同連絡協議会は、12月4日(月)19:00 一新コミセン
■次回例会/理事会:12月18日(月)18:30 熊本大学まちなか工房
§議題に関連して会議中に冨士川理事からあった熊本城天守閣に関する発言主旨は以下の通り。
①「登録文化財」の発想は、指定文化財の予備軍ではなく、地域住民が後世に残したいという思いが「登録」という形式をとることにある。熊本城天守閣に対する県市民の思いは、この趣旨に合致し、その思いの強さからすると、熊本城天守閣は登録文化財の親玉と言える。
②冨重利平が撮影した消失前(明治初期)の熊本城天守閣の写真は、現代の写真が情報としての写真であることに対比させると、「物質としての写真」と言えるものである。その特徴の一つは、原板(ネガ)が銀の粒子を付着させてできているために解像度がきわめて高く、この写真が残されたために、きわめて精巧な天守閣の再現が可能であった。コンピューターグラフィックによる視覚的再現では不可能な、日本の写真技術と建築技術が融合して成し遂げた近代の遺産である。
③冨重利平が残した写真遺産の歴史的文化的価値は、国指定の重要文化財に値すると言われている。熊本城天守閣の持つこのような複合的な文化的価値は、縄張りと石垣、宇土櫓をはじめとする櫓群の持つ文化的価値に新たな価値を付与するものであり、熊本城域全体を世界遺産登録に推す際の大きな推進力にもなる。熊本城域を世界遺産へ!